30代薬剤師mint-tomatoの体験記

お薬と健康情報・薬剤師のお仕事紹介

市販の風邪薬の選び方 後編

ドラッグストアで風邪薬を買いたい時、皆さんはどうやって選びますか?

風邪薬の選び方 前編では、常備薬と今すぐ何とかしたいタイプ別の風邪薬があること、風邪薬の成分について話してきました。

後編では、鼻水鼻づまりに効く成分、熱に効く成分についてお話ししていきます。

 

繰り返し断っておきますが、、、

風邪薬は、風邪ウイルスを抑える効果はありません。 あくまで風邪薬は風邪でつらい症状を緩和させるためのお薬です。 治すためにはとにかくしっかり体を休めて下さい。

また、 風邪をこじらせて他の病気を引き起こした場合、市販薬でごまかしていると治らないどころか悪化する恐れもあります。症状が長引く場合やいつもの風邪とは違う症状を伴う場合は早めに病院を受診してください。

持病があったり、普段から何かお薬を飲んでいる方、 15歳以下のお子様、65歳以上の高齢の方は、お薬を選ぶ際に、 店員に相談するか、 お薬の注意書きを良く読んで飲んでも大丈夫か確認してください。

また、市販薬をご使用の際は、使用上の注意をよく読み、用法容量を守って正しくご使用ください。また、ご使用中に注意してある副作用が出た場合は、使用を中止し、商品にある説明書を持って、医師・薬剤師又は登録販売者にご相談ください

 

前編

1.風邪薬選びのポイント

2.のどの痛み

3.せき

4.たん

後編

5.鼻水鼻づまり

6.熱

 

5.鼻水鼻づまり

鼻水は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬と呼ばれる成分が抑えてくれます。成分に多少違いはありますが、ほとんどの風邪薬に配合されています。

代表的な成分はクロルフェニラミンマレイン酸塩(通称マレクロ)という成分です。鼻炎薬でもよく使われていて、眠気が出やすいですが、鼻水を抑える作用も強めです。

その他には、クラマスチンフマル酸塩などがあります。

風邪薬によく使われている鼻水を抑える成分は、効き目の違いは多少あるものの、花粉症用の鼻炎薬と違ってそんなに種類は豊富ではありません。 基本的には鼻水をしっかり抑える代わりに眠気の出やすい成分が入っています。厳密に言えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩とだけ記載されているものより、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩の方が眠気は出にくいと言われています。少しでも眠気が出にくいものを選びたいのであれば「d-」と記載されているものを探してください。

ちなみに風邪薬には、カフェインが入ったものもあります。昼間の眠気、倦怠感などが気になる方はカフェインが配合されていた方がすっきりするかもしれません。

 

鼻づまりには、ベラドンナアルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、塩酸プソイドエフェドンリンなどの成分が効果的です。ただし、これらの成分は、口の渇きやおしっこが出にくくなるといった副作用も出やすいので注意が必要です。さらに塩酸プソイドエフェドンリン代謝が上がり、血圧や血糖値が上がる可能性もあります。高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害、心臓病のある人は使えません。

 

ベラドンナアルカロイド配合の風邪薬例:新ルルAゴールドS、新ルルAゴールドDX、ルルアタックNXなど

ヨウ化イソプロパミド配合の風邪薬例:ベンザブロックSプラスなど

塩酸プソイドエフェドリン配合の風邪薬例:ベンザブロックLプラスなど

 

 

6.熱

仕事や学校の試験があると、多少の熱では休んでられないですよね。風邪をひいたら体の免疫力を上げるために、本来は体温を上げないといけないのですが、熱があると仕事や試験に集中できない!そこで風邪薬の出番です。市販の風邪薬はほとんどの商品に解熱鎮痛薬が配合されています。

アセトアミノフェンは、解熱鎮痛薬のなかでも市販薬で一番よく使われる成分です。熱、のどの痛みを和らげます。

イブプロフェンは、のどの痛みの項目でも説明しましたが、アセトアミノフェンより一般に痛みを抑える作用が強いと考えられており、同時に熱も下げる作用があります。イブプロフェンで注意が必要なのは、38℃を超える高熱時や、胃の弱い方が使うことです。インフルエンザに感染していた場合、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬は脳症といって意識障害、異常行動、けいれん、を引き起こす可能性があるので絶対に使ってはいけません。38℃を超える高熱の場合はインフルエンザの可能性がありますのでアセトアミノフェン入りの風邪薬を選んでください。また、解熱鎮痛薬は胃を荒らしやすいです。イブプロフェンアセトアミノフェンと比べて胃を荒らしやすいので、胃が弱い方もアセトアミノフェン入りの風邪薬を選びましょう。

 

繰り返しますが、風邪を治すためには体温を上げて免疫力をアップさせる必要があります。市販の風邪薬では風邪自体を治すことはできません。お薬で熱を下げている間に風邪をこじらせ、肺炎などの大変な病気になるかもしれません。医療用のお薬でも解熱薬は「38.5℃以上の時」などと指導されることが多いです。高熱でなければ、できれば解熱鎮痛薬は使わず、とにかく暖かい格好で体を休めるよう努めてください。

 

熱を下げるお薬ではありませんが、、、

風邪のひきはじめに葛根湯とよく聞きますよね。葛根湯や麻黄湯は、熱がこれから上がる時の寒気がある状態の人に向いた漢方薬です。体を温めて発汗を促します。熱を無理に下げる作用はないので、この2つに関しては、体を休める時に飲んでもOKです。熱が上がって、汗をかき始めたら中止してください。葛根湯は弱い寒気、頭痛や肩こり・背中のこわばりがある人に。麻黄湯は強い寒気がある人に向いています。

 

 

 

ここまで市販の風邪薬の選び方についてお伝えしました。いかがでしたか?

少しでも皆様が市販薬を選ぶ際の助けになれたらと思います。