30代薬剤師mint-tomatoの体験記

お薬と健康情報・薬剤師のお仕事紹介

ビタミン剤の選び方 後編

こんにちは、元ドラッグストア薬剤師のミントトマトです。前回に引き続き、市販のビタミン剤についてご紹介します。
 
 1.ビタミン剤の分類
5.ビタミンB6
9.ビオチン
10.ビタミンC
11.ビタミンA
13.ビタミンE
14.ビタミンK  
 
 
妊婦さんにおすすめのビタミンとして知られている葉酸。実は、葉酸もビタミンB群に属します。
妊娠を希望している・妊娠している女性は、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、一日240㎍の追加摂取が推奨されています。
葉酸は、赤血球を作るために必要なビタミンです。ビタミンB12も同様に赤血球を作るために必要なので、貧血が気になる方は鉄分と共に、葉酸ビタミンB12もセットで積極的に取りましょう。そのは他に葉酸細胞分裂や細胞の再生に関わり、体の発育にも必要なビタミンです。
通常、葉酸が欠乏すると、ビタミンB12欠乏と同様の貧血を引き起こします。胎児や成長期の子どもの成長にも必要なので、妊婦さんや成長期のお子さんは積極的に摂る必要があります。
 
 
 
パントテン酸もビタミンB群に入ります。様々な食品に含まれており、通常は不足することはありません。
しかし、体の中の様々な所で必要となるビタミンです。もし不足してしまうと、疲れやすくなったり、食欲がなくなったり、便秘になったりといった症状が見られます。
なので、疲れが気になる方におすすめされる商品やビタミンB群の一つとして一緒に配合されていることが多いです。  
 
 
 
 9.ビオチン
ビオチンもビタミンB群に入ります。エネルギーをつくりだす手助けをする他、皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わっているビタミンです。
不足するとアトピー性皮膚炎や脱毛などの皮膚症状や食欲不振、うつなどの症状が現れます。サプリメントでは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素と記載されています。
ビオチンは、様々な食品に含まれ、腸内細菌によっても作られます。なので、滅多に不足することはありません。
卵白の成分がビオチンの吸収を妨げるのですが、これは生卵だけで、加熱した卵なら問題ありません。生卵を毎日食べる人は、ビオチンの不足が心配されます。  
 
 
10.ビタミンC
ビタミンCは皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けを防ぐ作用や、ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力を強める働きがあります。血管・歯・軟骨などを正常に保つ働きや、その他にもビタミンCがもつ抗酸化作用から色々な効果が期待されています。
ビタミンCはアスコルビン酸と表記されていることがあります。
ビタミンCが不足すると、皮下出血、骨形成不全、貧血になる可能性があります。
市販薬やサプリメント以外に化粧品にもよく含まれていて、美白のためによくおすすめされるビタミンです。
ただし、ビタミンC自体はそのまま塗っても肌から吸収されにくいので、ビタミンC誘導体という形にして肌から吸収されやすく工夫されていることがあります。  
 
 
 
ここからは、脂溶性ビタミンについてお話しします。 
 
11.ビタミンA
ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。植物に含まれるβ(ベータ)-カロテンは、小腸でビタミンAに変換されるのでプロビタミンAとも呼ばれています。β-カロテンのすべてがビタミンAに変換され吸収されるわけではなく、効力はβ-カロテンはレチノールの6分の1に相当すると見積もられます。
ビタミンAの主要な成分であるレチノールには、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあります。また、レチノールは薄暗いところで視力を保つ働きもあります。このため、市販の目薬にも配合されていることがあります。
ビタミンAが不足すると薄暗いところでものが見にくくなり、やがて夜盲症になります。また、目の角膜や結膜が乾燥するほか、皮膚や粘膜も、乾燥し、硬くなります。子どもの場合は成長が停止する場合もあります。
反対に脂溶性ビタミンである、ビタミンAは過剰に摂取しても、健康障害が起こることが知られています。ビタミンA過剰症の症状として、頭痛が特徴的であるほか、皮膚のはげ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状が見られることが知られています。
ビタミンAの過剰症は通常の食事ではほとんど起こりませんが、サプリメントを利用したり、ビタミンAを特に多く含むレバーを過剰に食べたりする際は注意が必要です。ちなみに、植物に含まれるβ-カロテンからのビタミン A への変換は必要に応じて調節されているため、β-カロテンによるビタミン A の過剰症は起こらないとされています。  
 
 
 
ビタミンDにはD2からD7の6種類ありますが、人に大きく影響をしているのはビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)です。この2つはほぼ同等な効果を持ちます。また、ビタミンD3は人の皮膚が紫外線に当たることで補うことができます。健常人が日本で適度な日光のもとで通常の生活をしている場合、ビタミンDが不足することは少ないと考えられます。1日中屋内で過ごすような方は食事からビタミンDを摂取する必要があります。
ビタミンDの生理作用の主なものに、正常な骨格と歯の発育促進が挙げられます。
ビタミンDが欠乏すると食事からのカルシウム吸収が悪くなり、さらに、血液中のカルシウムもおしっこからどんどん出ていってしまうようになります。そのため、骨の軟化がおこり、成人、特に妊婦や授乳婦では骨軟化症になります。また、こどもの場合は骨の成長障害が起こり、姿勢が悪くなったり、足の骨が曲がったりします。高齢者の場合は、骨粗鬆症になりやすくなり、骨折しやすくなります。
ビタミンDは、脂溶性ビタミンのため過剰摂取による健康障害が知られています。ビタミンDをとりすぎると、欠乏の時と逆のことが起こり、カルシウムが過剰になります。そのため腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が現れます。  
 
 
 
13.ビタミンE
ビタミンEは4種のトコフェロールと 4種のトコトリエノールの合計8種類の化合物の総称です。
ビタミンEには強い抗酸化性作用があり、血管を健康に保つほか、血中の悪玉コレステロールの酸化を抑制したり、赤血球の破壊を防いだりする作用もあることが知られています。また、細胞の酸化を防ぐため、老化防止にも効果があります。
ビタミンEが不足すると、神経や筋障害の症状がみられることがあります。そのため、血行も悪くなり、冷え性や頭痛、肩こりなどを起こしやすくなります。また、抗酸化力が低下するため、肌を紫外線などの刺激から守りにくくなり、シミやシワができやすくなります。また、血液中のコレステロールも酸化しやすくなるため、これが血管壁に入り込んで溜まり動脈硬化の原因につながります。
ビタミンEの市販薬だと手足の冷え・しもやけ・肩こりなどを効果効能としています。サプリメントでは、いつまでも若々しく健康でいたい方におすすめ、などと記載されています。
過剰症としては、血液が止まりにくくなることが知られていますが、実際には、摂取量の3分の2が便として排出されるため、脂溶性ビタミンの中では比較的体内に蓄積されにくく、通常の食事の範囲では過剰症はほとんど起こりません。ただし、サプリメントや市販薬で摂る場合は記載された目安量・用法用量を守りましょう。
 
 
 
 14.ビタミンK
ビタミンKの主要な作用は、血液凝固に関与するものです。ビタミンKが欠乏すると血液凝固に時間がかかり、出血が止まりにくくなります。ビタミンKは丈夫な骨づくりにも不可欠で、骨の形成を促す作用があります。
ちなみに、薬剤師の業界では有名な話ですが、ワーファリンという血液サラサラのお薬を飲んでいる方は、このビタミンKを多く含む納豆やクロレラ、青汁を摂るとワーファリンの効果が打ち消されてしまうので、これらの食材は禁止されています。サプリメント・市販薬も、ビタミンKが入っているものは摂らないようにしてください。カルシウムなどを主成分とした商品でも、骨の形成に必要な成分として一緒に入っていることがあります。
ビタミンKはさまざまな食品中に広く含まれますし、ビタミンK2は腸内細菌によっても合成されるので、健常人が不足することはあまりありません。新生児では腸内細菌からのビタミンK2供給が少ないため、ビタミンKが不足することがあります。高齢者もビタミンKが不足しやすくなります。それは、加齢により膵液や胆汁の分泌量が低下すると、ビタミンKの吸収量が減少するからです。
ビタミンKは多量に摂取しても健康被害が見られないことから、食事摂取基準にも上限量は設定されていません。ただし、サプリメントで摂る場合はくれぐれも記載された目安量を守るようにしてください。 
 
 
 
2回にわたり、各ビタミンについてご紹介してきました。いかがでしたか?
ビタミン不足は様々な不調をきたす可能性があります。食事で摂ることが難しい方は参考にしてくださいね!
市販薬・サプリメントどちらに関しても、商品ごとに配合量が違います。記載された成分は、配合量の多い順に並んでいます。また、サプリメントなら1日に必要な量の何%が摂れるのか書いてあることもあります。小さい文字で書かれていることが多いのですが、頑張って目を通してくださいね。
マルチビタミンなどのたくさんの成分が入っている商品については、バランスよく不足しがちな成分が入っていますが、過剰摂取防止のため、少なめに配合されているビタミンもあるので、目的に応じて選んでください。
 
何度も言いますが、くれぐれも過剰摂取には注意が必要です。記載された量を守って正しく服用しましょう。また、2種類以上の商品を組み合わせる場合は、成分が重なって過剰摂取にならないよう注意が必要です。もし成分が重なっている場合は、計算が難しいと思うので、可能であれば購入前に、店頭の薬剤師や登録販売者に相談しておくと安心ですね。 

ビタミン剤の選び方 前編

こんにちは、元ドラッグストア薬剤師のミントトマトです。

最近、サプリメントのTV CMをよく見かけます。忙しい現代人は、食事が偏りビタミンが不足しがちです。ビタミンは不足すると様々な不調を引き起こします。今日は市販のビタミン剤についてご紹介します。

 


1.ビタミン剤の分類

2.ビタミンB1

3.ビタミンB2

4.ナイアシン

5.ビタミンB6

6.ビタミンB12

7.葉酸

8.パントテン酸

9.ビオチン

10.ビタミンC

11.ビタミンA

12.ビタミンD

13.ビタミンE

14.ビタミンK

 

 

1.ビタミン剤の分類

ビタミンといえば、サプリメントが1番テレビCMで良く見かけるかと思います。実は、ビタミン剤には、医薬品に分類される商品と栄養機能食品(いわゆるサプリメント類)に分類される商品があります。

 


医薬品の方が含量が多いと考えられがちですが、ビタミンB1、B2、B12、Cは、食品として販売する場合でも特に含量の上限値は決められていませんので、食品でも医薬品と同等の量が含まれている場合があります。

但し、医薬品は病気の時に有効性を期待して服薬量を設定しますので、1日の服薬量が食事摂取基準のそれ以上摂らない方がよい量(耐用上限量)を上回る場合もあります。

(引用:大塚製薬HP ビタミン&ミネラルQ&A)

 


栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品です。医薬品ではないので、効果効能は記載できませんが、入っている各ビタミンの機能が表記されています。

 


医薬品には用法用量が、サプリメント(栄養機能食品)には1日の摂取目安量が各商品に記載されていますので、記載された量を超えないように正しく摂取してください。

 


ビタミンには、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2種類が存在します。

水溶性ビタミンは加熱調理や保存している間に壊れやすく、また、体に入った後は尿と一緒に排泄されやすい特徴があります。そのため、不足しやすい傾向があります。

脂溶性ビタミンは加熱調理でも壊れず、体の中に蓄える事もできます。過剰に摂ると、蓄積されて体に有害な影響が出ることがあります。高脂肪食と一緒に摂ると吸収が良く、逆に、脂肪分の少ない食事だと吸収が悪く、低脂肪食ばかり食べていると不足することがあります。

 


2.ビタミンB1

ビタミンB1は、炭水化物(糖質)からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。水溶性ビタミンに分類されます。エネルギー代謝に必要なビタミンB群の中でも、特に疲れが気になる方に摂ってほしいビタミンです。

ビタミンB1は、「チアミン」という名前で表記されていることがあります。このチアミンを、より吸収しやすい形に工夫された物もあり、ジセチアミン塩酸塩水和物、フルスルチアミンなどがあります。

 


3.ビタミンB2

ビタミンB2は糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生を助けます。また、皮膚、髪、爪などの細胞の再生にも関与しています。

口内炎や肌荒れが気になる方に摂ってほしいビタミンです。

ビタミンB2は、「リボフラビン」という名前で表記されていることがあります。リボフラビンリン酸エステルナトリウムや、リボフラビン酪酸エステルと表記されているものもあります。

 


4.ナイアシン

ビタミンB3はナイアシンと呼ばれ、糖質、たんぱく質、脂質の代謝、エネルギー産生を助けます。また、脂肪酸ステロイドホルモンを作ったり、DNAの修復や合成など、体の中で幅広く利用されます。不足すると皮膚炎や口内炎、下痢、物忘れが増えるなどの症状が出ることがあります。

 


5.ビタミンB6

ビタミンB6は、多くのアミノ酸代謝を助けています。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進、赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などの生理作用もあり、脂質の代謝にも関与しています。

疲れやが気になる方におすすめされるビタミンです。

ビタミンB6は、ピリドキシンなどと表記されていることがあります。

十分なビタミンB6が摂取できないと、貧血、かゆみを伴う発疹、口唇の荒れ、口角のひびわれ、舌の腫れなどの症状が出てきます。極度に不足した場合、抑うつ、錯乱、免疫機能が低下することがあります。

 


6.ビタミンB12

ビタミンB12は、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAを作る過程を助ける栄養素です。また、疲労や体力低下を引き起こす貧血の予防にも役立ちます。

ビタミンB12は、メチルコバラミン、シアノコバラミンなどと表記されていることがあります。

ビタミンB12は元々動物性食品にしか含まれていません。卵や肉魚類を全く食べないと不足することがあります。また、ビタミンB12を吸収するためには胃酸が重要な働きをします。胃酸の分泌が少ない高齢者などは、不足しやすいと考えられています。

ビタミンB12が不足すると、疲労、体力低下、便秘、食欲不振、体重減少、巨赤芽球性貧血などを引き起こします。しびれや、手足のチクチクする痛みなどの神経症状が起こることもあります。

神経症状に関わるということで、肩こりや腰痛の方におすすめされることが多いビタミンです。

 

 

 

 

ここまで、ビタミンB群についてお話ししました。ビタミンB群は水溶性ビタミンで不足しやすいので、食事で取れない分はサプリメントや医薬品をプラスしてみてはいかがでしょうか?

 


続きは次回!

次は葉酸パントテン酸、ビオチン、ビタミンC、脂溶性ビタミンを紹介します。

市販の風邪薬の選び方 後編

ドラッグストアで風邪薬を買いたい時、皆さんはどうやって選びますか?

風邪薬の選び方 前編では、常備薬と今すぐ何とかしたいタイプ別の風邪薬があること、風邪薬の成分について話してきました。

後編では、鼻水鼻づまりに効く成分、熱に効く成分についてお話ししていきます。

 

繰り返し断っておきますが、、、

風邪薬は、風邪ウイルスを抑える効果はありません。 あくまで風邪薬は風邪でつらい症状を緩和させるためのお薬です。 治すためにはとにかくしっかり体を休めて下さい。

また、 風邪をこじらせて他の病気を引き起こした場合、市販薬でごまかしていると治らないどころか悪化する恐れもあります。症状が長引く場合やいつもの風邪とは違う症状を伴う場合は早めに病院を受診してください。

持病があったり、普段から何かお薬を飲んでいる方、 15歳以下のお子様、65歳以上の高齢の方は、お薬を選ぶ際に、 店員に相談するか、 お薬の注意書きを良く読んで飲んでも大丈夫か確認してください。

また、市販薬をご使用の際は、使用上の注意をよく読み、用法容量を守って正しくご使用ください。また、ご使用中に注意してある副作用が出た場合は、使用を中止し、商品にある説明書を持って、医師・薬剤師又は登録販売者にご相談ください

 

前編

1.風邪薬選びのポイント

2.のどの痛み

3.せき

4.たん

後編

5.鼻水鼻づまり

6.熱

 

5.鼻水鼻づまり

鼻水は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬と呼ばれる成分が抑えてくれます。成分に多少違いはありますが、ほとんどの風邪薬に配合されています。

代表的な成分はクロルフェニラミンマレイン酸塩(通称マレクロ)という成分です。鼻炎薬でもよく使われていて、眠気が出やすいですが、鼻水を抑える作用も強めです。

その他には、クラマスチンフマル酸塩などがあります。

風邪薬によく使われている鼻水を抑える成分は、効き目の違いは多少あるものの、花粉症用の鼻炎薬と違ってそんなに種類は豊富ではありません。 基本的には鼻水をしっかり抑える代わりに眠気の出やすい成分が入っています。厳密に言えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩とだけ記載されているものより、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩の方が眠気は出にくいと言われています。少しでも眠気が出にくいものを選びたいのであれば「d-」と記載されているものを探してください。

ちなみに風邪薬には、カフェインが入ったものもあります。昼間の眠気、倦怠感などが気になる方はカフェインが配合されていた方がすっきりするかもしれません。

 

鼻づまりには、ベラドンナアルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、塩酸プソイドエフェドンリンなどの成分が効果的です。ただし、これらの成分は、口の渇きやおしっこが出にくくなるといった副作用も出やすいので注意が必要です。さらに塩酸プソイドエフェドンリン代謝が上がり、血圧や血糖値が上がる可能性もあります。高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害、心臓病のある人は使えません。

 

ベラドンナアルカロイド配合の風邪薬例:新ルルAゴールドS、新ルルAゴールドDX、ルルアタックNXなど

ヨウ化イソプロパミド配合の風邪薬例:ベンザブロックSプラスなど

塩酸プソイドエフェドリン配合の風邪薬例:ベンザブロックLプラスなど

 

 

6.熱

仕事や学校の試験があると、多少の熱では休んでられないですよね。風邪をひいたら体の免疫力を上げるために、本来は体温を上げないといけないのですが、熱があると仕事や試験に集中できない!そこで風邪薬の出番です。市販の風邪薬はほとんどの商品に解熱鎮痛薬が配合されています。

アセトアミノフェンは、解熱鎮痛薬のなかでも市販薬で一番よく使われる成分です。熱、のどの痛みを和らげます。

イブプロフェンは、のどの痛みの項目でも説明しましたが、アセトアミノフェンより一般に痛みを抑える作用が強いと考えられており、同時に熱も下げる作用があります。イブプロフェンで注意が必要なのは、38℃を超える高熱時や、胃の弱い方が使うことです。インフルエンザに感染していた場合、アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛薬は脳症といって意識障害、異常行動、けいれん、を引き起こす可能性があるので絶対に使ってはいけません。38℃を超える高熱の場合はインフルエンザの可能性がありますのでアセトアミノフェン入りの風邪薬を選んでください。また、解熱鎮痛薬は胃を荒らしやすいです。イブプロフェンアセトアミノフェンと比べて胃を荒らしやすいので、胃が弱い方もアセトアミノフェン入りの風邪薬を選びましょう。

 

繰り返しますが、風邪を治すためには体温を上げて免疫力をアップさせる必要があります。市販の風邪薬では風邪自体を治すことはできません。お薬で熱を下げている間に風邪をこじらせ、肺炎などの大変な病気になるかもしれません。医療用のお薬でも解熱薬は「38.5℃以上の時」などと指導されることが多いです。高熱でなければ、できれば解熱鎮痛薬は使わず、とにかく暖かい格好で体を休めるよう努めてください。

 

熱を下げるお薬ではありませんが、、、

風邪のひきはじめに葛根湯とよく聞きますよね。葛根湯や麻黄湯は、熱がこれから上がる時の寒気がある状態の人に向いた漢方薬です。体を温めて発汗を促します。熱を無理に下げる作用はないので、この2つに関しては、体を休める時に飲んでもOKです。熱が上がって、汗をかき始めたら中止してください。葛根湯は弱い寒気、頭痛や肩こり・背中のこわばりがある人に。麻黄湯は強い寒気がある人に向いています。

 

 

 

ここまで市販の風邪薬の選び方についてお伝えしました。いかがでしたか?

少しでも皆様が市販薬を選ぶ際の助けになれたらと思います。

市販の風邪薬の選び方 前編

肌寒い季節になりましたね。皆さん、風邪ひいてないですか?

 

風邪ひいた!

でも病院行く時間もないし、とりあえずドラッグストアで風邪薬を買おう!

 

そんな時、お店にずらりと並んだ風邪薬を皆さんはどうやって選びますか?

 

お薬のパッケージを見ると、いかにも効きそうなデザインで「喉の痛みに」なんて書かれていると選んじゃいますよね。でもよく探してみると、「喉の痛み」と書いてある風邪薬はたくさんあって、値段も違う。どう違うのでしょうか?

 

まず始めに断っておきますが、、、

風邪薬は、風邪ウイルスを抑える効果はありません。 あくまで風邪薬は風邪でつらい症状を緩和させるためのお薬です。 治すためにはとにかくしっかり体を休めて下さい。

また、 風邪をこじらせて他の病気を引き起こした場合、市販薬でごまかしていると治らないどころか悪化する恐れもあります。症状が長引く場合やいつもの風邪とは違う症状を伴う場合は早めに病院を受診してください。

持病があったり、普段から何かお薬を飲んでいる方、15歳以下のお子様、65歳以上の高齢の方は、お薬を選ぶ際に、店員に相談するか、お薬の注意書きを良く読んで飲んでも大丈夫か確認してください。

また、市販薬をご使用の際は、使用上の注意をよく読み、用法容量を守って正しくご使用ください。また、ご使用中に注意してある副作用が出た場合は、使用を中止し、商品にある説明書を持って、医師・薬剤師又は登録販売者にご相談ください

 

前編

1.風邪薬選びのポイント

2.のどの痛み

3.せき

4.たん

後編

5.鼻水鼻づまり

6.熱

 

1.風邪薬選びのポイント

風邪薬を選ぶ際に、常備薬として使うのか、今の風邪の症状に特化した薬なのかで大きく違ってきます。

よく見るテレビCMを例にしてみましょう。「早めのパブロン」(パブロンSゴールドW)や「熱のど鼻にルルが効く」(新ルルAゴールドDX)は家族で使える常備薬向けに、どの症状の風邪にもオールマイティに効くように作られています。それと比較すると、「速攻アタック」(ルルアタックシリーズ)や広瀬すずちゃんの「手強いカゼをねらい撃ち」(コンタックEX)は、症状別により効果の高い成分を配合しており、値段も高めに設定されており、今すぐ何とかしたい風邪の症状に向いています。

 

個人的には、常備薬を選ぶ際、例えばルルのシリーズなら、一番安くてベーシックな新ルルA錠で十分かなと思いますが、これだとのどの痛みや鼻づまりがつらい場合にあまり効果を期待できません。なので、自分が風邪でよくのどからやられやすいのであれば、去痰成分ブロムヘキシン入りの新ルルAゴールドS、さらにのどの炎症を抑えるトラネキサム酸を配合した新ルルAゴールドDXにランクアップしておいても良いかもしれません。

 

同じメーカーのシリーズであれば、基本的にはより効果の高い成分が入っているものほど値段が高くなるので比較しやすいですね。メーカーによってランクアップさせる成分が微妙に違うので、自分のなりやすいカゼ症状があれば、そこを強化してある常備薬を選んでおくと良いでしょう。

 

値段の話をするともう一点、裏話をお教えします。お薬コーナーは隅の方を良く見ると、聞いたことのない名前の安いお薬があったりします。あまり聞いたことの無い薬は、広告代がかかってない分値段が安いんです。内容は、医薬品としてきちんと品質は守られて売り場に並んでいますから、同じ成分、同じ量が入っているなら、有名なお薬と効果は何ら変わりません。じっくり比較する時間があるのなら、コスパを考えてマイナーなメーカーのお薬をあえて選ぶのもありです。

 

ここからは、症状別に選ぶ場合どの成分が入ったものを選んだら良いのか紹介していきます。

 

2.のどの痛み

のどの痛みに効く成分には、のどの腫れや炎症を抑えるトラネキサム酸があります。

他には、熱と炎症と痛みを抑える(解熱鎮痛)イブプロフェンが効果的です。トラネキサム酸は、痛みを取るわけではないので、のどの腫れが治るまで痛みは続きます。

のどの痛みが強く辛いなら、痛みを抑えるイブプロフェン入りのお薬を選ぶと痛みは早くましになります。同じ解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンは、熱は下げられますが、のどの痛みには効果が優しいと考えられています。同じ「のどの痛みに効く」と記載されていても、イブプロフェン入りの方が効きが良いです。

 

のどの痛みだけなんとかしたい、眠くなると困るという方には、パブロンメディカルTがおすすめです。眠くなる成分は含まず、熱とのどの痛みに効くイブプロフェン配合で、その他にアンブロキソール塩酸塩がのどにからまるしつこいたんを出しやすくし、L-カルボシステインが気道粘膜の状態を改善してくれます。のどに特化した風邪薬です。

 

のどの痛みに強い成分:

トラネキサム酸、イブプロフェン

イブプロフェン配合の風邪薬例:

ルルアタックEX、パブロンエースPro、パブロンメディカルT、コルゲンコーワIB錠TXα、エスタックイブファインEX

 

のどの痛みで、唾を飲み込むのも痛いような症状の場合、風邪ウイルスだけでなく、細菌が入ってのどやその奥の気道に炎症を起こしている可能性もあるので、病院を受診してください。

のどの痛みを早く治すために、1日数回のうがいと部屋の加湿、首回りを温めるなどの対策もしましょう。

 

3.せき

のどの痛みがひいてから出てくることも多いせき。長引きやすく、体力も消耗するので辛いですよね。

せきに効く代表的な成分といえば、コデイン系の成分です。ジヒドロコデインリン酸塩と表記されるものです。コデイン系のせき止め効果は効きが良く、比較しなくてもほとんどの風邪薬に入っています。

エフェドリンは、気管支という肺の中の息の通り道を広げ、呼吸を楽にしてせきを抑えます。dl-メチルエフェドリン塩酸塩と表記されています。こちらも、多くの風邪薬にコデイン系とセットで入っていることが多いです。

グアイフェネシンというせき止め成分もあります。これは、たんをサラサラにするたん切り作用もあります。せき止め効果は強くありませんが、その分コデイン系より口が乾いたり便秘するなどの副作用も出にくいです。

 

せきだけ何とかしたい人は、風邪薬ではなくせき止めを使うのもおすすめです。

せき止めとして売られているお薬は、風邪薬よりも成分が多めに入っていることが多く、より効果が高いと考えられるからです。

 

せきに良く効く成分:

ジヒドロコデインリン酸塩、dl-メチルエフェドリン塩酸塩

 

せきは風邪自体が治ってからも長く続くことがあります。せきが治るまでは無理はせず、部屋の加湿をしてしっかり休んでください。

せきが2週間以上続く場合や、ゼーゼーやヒューヒューと息をした時に音がする場合は、速やかに病院を受診してください。

 

4.たん

たんが絡んでつらい時に効く成分は、市販薬で多いのはブロムへキシンです。気管支での分泌を増やす効果があります。

Lーカルボシステイン、アンブロキソールは、病院でもよく使われる効きの良いたんきり薬です。たんの粘りを抑えてサラサラに、出しやすくしてくれるため、たんが絡んで辛い人におすすめです。さらに、L-カルボシステインは粘膜の細胞の修復を促します。

 

たんに効く成分:

ブロムへキシン、Lーカルボシステイン、アンブロキソール

 

Lーカルボシステイン、アンブロキソール両方配合の風邪薬:パブロンエースPro

アンブロキソール配合の風邪薬:コルゲンコーワIBカプセル、コルゲンコーワIB錠TXα、エスタックイブファインEX

 

後編では、鼻水鼻づまり成分、熱に効く成分についてお話しします。

薬学部ってこんなところ2

こんにちは、薬局薬剤師として働くミントトマト31歳です。

前回にひき続き、薬学部の学生生活について紹介します。

10年ほど前の話になるので私の学生時代と多少事情は変わってきているかもしれませんが、私も薬学部の6年制が始まった2代目の卒業生です。

 

1.薬学部ってこんなところ

2.大学6年間のスケジュール

3.薬学部に入って感じたメリット

4.アルバイト事情

5.大学の選び方

 

 

 4.アルバイト事情

薬学部に入ると、前回お話しした通りアルバイトに精を出す時間はあまりありません。それでも、全くできないわけではないです。試験勉強の計画をきちんと立てておけば週2〜3くらいのバイトなら問題ないでしょう。ただし、平日は学生実験など終わる時間が遅くなる場合もあるので、融通の利くバイトでないと厳しいです。 いくら学費が高いとはいえ、アルバイトのせいで単位を落としては意味がないので、在学中はお勉強を最優先にしましょう。留年してしまい、学費を払えなくて結局退学した子を何人も見ています。

 

5.大学の選び方

最後になりますが、私なりの薬学部の選び方を紹介します。

どこの薬学部がいいの?

通常、大学選びは自分の偏差値や得意科目から考えると思いますが、、、

まずは薬剤師になる可能性が少しでもあるなら6年制の薬学部から選んでください。

ただし、東大、京大などトップクラスの国公立大学は一般的な薬剤師として働くことを最終目標としてない人が多く、6年制の過程があっても、国家試験対策には力を入れていない印象があります。

薬剤師免許を取るだけなら、私立大学の方が合格率を気にしているので国家試験対策はかなり力を入れてやってくれます。薬剤師免許の取得を第一に考えるのなら、合格率の高い私立大学に入れれば十分です。

学費やコストから選ぶとすると、やはり国公立大学になってしまいますが、それでも実家から通える大学が何よりです。一人暮らしをすれば年間200万円くらいかかりますので、わざわざ実家を出て遠い大学へ通うより、近くの私立大学の方がお金がかからないかもしれません。自炊しながらのお勉強も大変ですしね。

 

単に薬剤師として働くだけなら、薬剤師免許さえあれば、出身大学の肩書きはあまり重視されません。

しかし、研究職は別です。企業の研究職は狭き門で、やはり学歴で選ばれる可能性が高いです。研究を熱心に行っている偏差値の高い大学から選んだ方が有利と考えます。

 

また、学部卒だけでは研究できる時間が限られるので、大学院まで出た方が研究職の就活には有利です。

ちなみに、6年制大学卒業後の進学は、修士過程はなく、4年の博士課程のみです。4年制大学卒業後の場合は、2年の修士過程があり、その先は3年の博士課程があります。なので、薬剤師免許を取る気はなく、最初から研究職などに絞っている人は4年制大学に入った方が1年早く博士号が取得できますし、病院・薬局実習などの興味のない過程を通らなくて済みます。

 

6年制大学を卒業し、薬剤師として働きながら大学院に通う道もあります。特に病院薬剤師の人で見かけるケースですが、病院薬剤師は臨床研究や論文発表をする機会も多いようです。大学病院を含めた大きな病院では薬局長になるために、博士号が必須であるところも増えてきました。薬剤師として就職してからでも、キャリアアップのために大学院に行く必要が出てくることがあるのです。ただし、働きながらの場合、基礎研究をじっくりする時間は取れませんので、データ集めをして論文を書くことになるかと思われます。

6年制大学を卒業後、進学する余裕がある人は、そのまま4年の博士課程に進み、じっくり研究をして、うまくいけば研究職につける場合もあります。研究しながら、薬剤師免許を使って薬剤師のアルバイトをすることも可能です。

 

いかがでしたか?薬学部といっても偏差値と学費だけではない違いがたくさんあるんです。入ってから後悔することのないよう、是非、研究への力の入れ具合や国家試験合格率などもよく調べてくださいね!

 

薬学部ってこんなところ1

こんにちは、薬局薬剤師として働くミントトマト31歳です。

今日は業界外の方でもわかるよう、薬学部の学生生活を紹介したいと思います。10年ほど前の話になるので私の学生時代と多少事情は変わってきているかもしれませんが、私も薬学部の6年制が始まった2代目の卒業生です。

 

1.薬学部ってこんなところ

2.大学6年間のスケジュール

3.薬学部に入って感じたメリット

4.アルバイト事情

5.大学の選び方

 

 

1.薬学部ってこんなところ

薬学部とは、その名の通り薬に関する専門知識を身につけるための大学です。医薬品に限らず、農薬や毒物劇物、体の仕組み、薬の研究開発に通じる化学や物理や生物学を学びます。

今では6年制大学が多くを占めますが、稀に4年制の大学もあります。 薬剤師免許をとるには、国家試験に合格しなければなりません。薬学部のうち6年制大学を卒業する必要があります。今から入学する人は4年制大学を卒業しても薬剤師国家試験を受けることはできません。(2006年度から2017年度までに入学した4年制大学の卒業生に限り、大学院課程を修了した場合に厚生労働大臣が認めれば受験資格が与えられます)ということで、4年制大学は、薬剤師になりたい人ではなく、研究職などを目指す人が入るところなのです。

 

薬学部を卒業した後は、薬剤師以外にも様々な進路があります。

・製薬会社(研究職や営業職など)

・公務員(保健所勤務や麻薬取締員など)

・薬の卸売会社(薬の管理責任者担当)

・治験コーディネーター(製薬企業で開発された新薬が、実際の薬として使用されるために必要な臨床研究を行う際に、医療機関や製薬会社、患者さんの間に立ちサポートする人)

・大学の研究員(大学院進学後)

※薬剤師免許が無くてもなれる職も含まれています。

 

大学では、高価な機械を使った実験をする他、教員の確保やパソコンなどの設備も必要なので、私立大学では大体学費が年間200万円くらいかかります。ちなみに使う教材も、専門書なので高いです。

 

2.大学6年間のスケジュール

薬学部の多くは6年制で、薬剤師を育てるカリキュラムを組んでいます。大学によって多少差がありますが、6年制大学の大体の流れを書くとこんな感じです。

 

1年目:一般教養含む座学

2年目:座学、学生実験

3年目:座学、学生実験、CBT(パソコンでの一斉試験)

4年目:座学、研究室配属(卒論研究のため)、OSCE(病院と薬局の実務実習のための実技試験)

5年目:卒論研究、実務実習

6年目:卒論研究、卒業試験と国家試験の勉強

 

ほとんどが必修科目なので、長期休み以外は90分の講義時間×4〜5時限で毎日あります。座学が無い期間でも、実験・実習・卒論研究などのために同じくらいの時間は拘束されます。

試験勉強も大変です。国家試験の合格率を上げるために、試験も厳しく、私の出身校は大体6年間で全体の4割の学生が留年させられます。そのため、よほど要領が良い人を除いて、試験勉強は毎回1カ月前からみっちりする必要があります。さらに、一発で合格できない人も多いので、落ちた人は長期休み後に再試験を行います。つまり、一発で合格できないと、長期休みも勉強の時間に消えてしまうのです。

実務実習は、薬局で2ヶ月半、病院で2ヶ月半行います。実際の現場で薬剤師の仕事を学びます。この実務実習は、薬剤師を目指さない人も必ず行かないといけません。

 

3.薬学部に入って感じたメリット

一応、ここまで大変さをアピールするような感じで来てしまいましたが、良いことももちろんあります。

・薬剤師の国家試験を受けられる

・学部内の人間関係が密

・実験が面白い

・大学で学んだことを活かせる仕事が多い

 

学部内での人間関係が密であることとは、どういうことでしょうか。それは、サークルに入らなくても、1年目からグループワークの授業が多く、特に学生実験の間や研究室配属後は協力・相談しながら実験をすることで、仲間意識が自然と強くなるのです。

私の同級生は特に仲間意識が強かったので、最終的に国家試験の勉強では、頭の良い子ができの悪い子に勉強を教える姿がちらほら見られました。6年間ともに時間を過ごした仲間だからできることかなと思います。もちろん、サークルなどに入っておくと、先輩から試験の過去問や試験勉強ノートをもらえたりのメリットもあります。試験に通るにはそういった情報が欠かせないので。

また、恋愛の出会いのメリットもあります。先ほど言った通り、人間関係が密なので学部内での出会いは多く、たとえ6年間の学生時代に何もなくても、卒業後に改めて連絡をとって付き合い始め、結婚に至ったカップルも少なくないんです。ちなみに私は学生時代から付き合っていて、そのまま結婚に至りました。狭い業界の中から結婚相手を選ぶのに抵抗がない人にとっては、メリットですね。

 

実験に興味があって理系の大学に進む人もいるかなと思います。実験自体は薬学部だけじゃなくて、理学部や農学部や物理学部など理系なら他でも実験自体はできると思います。薬学部の魅力は薬についての実験ができることです。どういうことかというと、例えば植物から薬の種となる化合物を抽出するとか、例えばいろいろな成分が入った液体にどのくらいの量の目的物質が入っているのか測定したりとか、そのほかにも、実際に錠剤を作ってみたり、高度な実験では自分のDNAを取り出して調べるなんて実験もありました(とっても高価な機械を使いました)。

 

学ぶ内容が専門的なので、就職活動も、特殊です。薬剤師の募集は特に、書類選考はほとんど無いようなもので、簡単な筆記テストと面接して終わりのところが多いですし、倍率も低いです。製薬会社などの企業については、薬剤師以外の人も受けるので、書類選考もしっかりあって倍率も高いです。それでも、大学で学んだ知識は活かせる場面が多いはずです。せっかく高い学費を払って6年も通うわけですから、活かせなくてどうするって感じなんですがね。

 

 

この次はアルバイト事情と、大学の選び方についてお話しします。ちょっと長くなってきたので、続きは次回!

女性の結婚・妊娠への思い

こんにちは、31歳で薬剤師やってます、ミントトマトです。

結婚して2年経ちますが、子どもはまだいません。

半年程前からようやく子どもがほしいと考えるようになりました。結婚したのは2年前ですが、とりあえず入籍、引越し、再就職だけ先にしました。結婚式は1年前、新婚旅が半年前、ようやく大きなイベントが全て終わり一段落したタイミングです。

 

今日は、私が女性の結婚や妊娠について思うことを話したいと思います。以下お話しするのは薬剤師としてではなく私個人の考えです。

 

1.結婚する前に思っていたこと

2.結婚してからわかったこと

3.私の家庭の方向性

 

 

1.結婚する前に思っていたこと

学生の頃は、ウエディングドレスを着てみたいだとか、結婚して子どもを生んで、、、それが女性の幸せなのかなと、なんとなく自分の母親世代までの一般的な考え方が植えついていました。仕事も寿退社をした後は家庭に入るものだと。

就職して働きだすと、少しずつ、働くことで自分が社会的に自立しているんだという感覚が芽生え、また、自由に使えるお金があることが当たり前になっていきます。住む場所も時間もお金も自分の自由。仕事が9:00〜21:00の営業時間の中でシフト制なので、起きる時間も寝る時間もいつもバラバラ、仕事から帰ったら何でもいいからとりあえず食べて、寝る、みたいな生活。

とにかく仕事中心な生活でした。

頭の中も仕事が第一だったので、職場の女性の方で、お子さんがいる方や産休に入る方への共感はまったく持てず、心の中でその方々のフォローをするのは負担だなと感じることさえありました。

小児患者さんのお母さまとの接し方も苦戦しました。赤ちゃんや、保育園くらいまでのお子さんが実際にどんな生活をしていて、薬をどうやって飲ませているのか?また、子育てで常に忙しそうなお母さま方、待ち時間にもシビアです。お子さんもじっとしていられません。慣れるまでは、対応するのが怖いとさえ思っていました。

 

仕事に慣れてくると、結婚へのネガティブな考えも増えていきました。結婚への漠然とした憧れはあるものの、周りの既婚者の話を聞くと、家庭の不満ばかり耳にするからかもしません。「結婚したら、お金、時間、住む場所を相手に合わせたり、家族のために我慢しないといけない」と、まるで独身貴族の男性のような考えに行きついていました。

そんな私でしたが、学生の頃からお付き合いしていた今の主人とは、学生の頃から仕事が落ち着いたら結婚しようという方向のまま続いていたので、自然と結婚の話が進みました。プロポーズはうれしかったのですが、その後はしばらく将来への不安など色々ネガティブな考えばかりでいっぱいで、マリッジブルーでしたね。

 

2.結婚してからわかったこと

結婚すると、2人のお財布をどうするか、生命保険をどうするかを決めなければなりません。そんなきっかけから、将来について2人で現実的に考える事になり、どんな家庭にするのか、仕事と家事のバランスをどうするか、いつまでにどのくらいお金を貯める必要があるか、子どもができたら仕事をどうするのか、子どもは何人くらいほしいか、、、考える事は山ほどありましたが、色々調べながら、幸い揉めることなく決めていけました。

まだ子どもはいませんが、もし子どもができたら自分がどれくらい仕事に比重をおくのか、そこまで考えが追いついた時に、ようやく気づきました。

今まで見てきた、職場の女性達が、どれだけ家庭との両立に悩みながら必死に働いていたのか。

あの頃の私は、人生は仕事が全てではない、ということをすっかり忘れていました。会社の為に生きている訳でもないです。職場の女性達も、決して仕事中に手を抜いている訳ではないですし、女性が子どもを生むことは当たり前の権利なので、そこは周りがフォローしないと成り立ちません。あの頃の私は、ただ単に自分が未熟でフォローする余裕がなかったんだと思います。

 

3.私の家庭の方向性

さて、私の家庭ですが、2人で話し合って、私が家庭重視、仕事は主人の方を仕事に集中させてあげる方向になりました。

偉そうに話しておりますが、実際私は、人の上に立つ程の仕事の技量と度胸はないと感じていたので、出世は諦めていましたし、納得しています。体力もそんなに自信がないので、仕事も勤務時間に無理のない所で選びました。

主人も家事自体はできる人なので、助けを求めれば手伝ってくれます。ただ、仕事に肩入れし過ぎないようセーブして私もなんとか家庭と両立していこうと思います。

もし出産したら、たとえ資格のある薬剤師でも、時間の制限を考えるとこれまで通りには働きにくいです。今の職場は幸い8:30~17:30の営業時間なので、保育園に延長保育で預けられるのならなんとかなりそうです。午後診があるような病院の近くの薬局だと19:00くらいまでなので、おそらく再就職は厳しい。こどもはすぐに熱を出します。そのたびに仕事を早退・欠勤しないといけないので、実家が遠く親に頼めない私は、正社員で働くのは周りに迷惑をかける頻度が高くなるし、こどもの世話と家事を考えると、一人で留守番できる年齢になるまでは無理。パートで週3~4日がちょうど良いのかもしれません。それでも急な欠勤は周りに迷惑がかかるので、できる限り周りへの心配りをしないといけないでしょうね。 今のところはそんな予定でいます。子どもができるかはまだわかりませんし、2人目の子こどもができたら、また事情は変わってくると思います。

 

私なんかより何倍もタフに働いている女性はたくさんいます。逆に、扶養内だけで働く女性、主婦をしている女性、それぞれの家庭の事情があるので、一概にどれが良いとか悪いとかはありませんよね。選択肢が多い分悩むところですが、後悔しないように、こどもができるまでは気長に考えを巡らそうと思います。

 

 

ある70歳先輩薬剤師の話

こんにちは。主婦業をしながら薬局薬剤師として働いているミントトマトです。

私は今、31歳です。今働いている薬局には、60歳を超えた(噂では70歳くらい)女性の先輩薬剤師さんがいます。もちろん正社員ではなくパートで、今は週2~3日だけですが、現役で患者さんにお薬の説明をされています。

 

今日は、その70歳の先輩薬剤師について、自分の将来を考えるうえでも重要なので、お話ししたいと思います。

 

1.ある先輩薬剤師の紹介

2.定年と老後の生活を考える

3.自分が定年になったら

 

1.ある先輩薬剤師の紹介

その70歳の女性先輩薬剤師(以下Aさん)は、実は定年まで公務員だったそうです。それ以上の話は聞けなかったのですが、薬学部出身で免許をもっているので、保健所などで勤務していたのだと思います。定年退職された後も、まだまだ元気で働けたので、今の薬局に再就職されました。今までと全く違う仕事にはなりますが、持ち前のコミュニケーション能力を発揮できる患者様へ説明してお薬を渡す(投薬)専門の仕事をされています。もちろん、最初は苦労したようですが、色々調べながらちゃんとお薬の説明をしておられます。薬歴(患者さんの記録)をレセコンに入力するのも、早くはないですが、人にいちいちやり方を聞くこともなく黙々とやっておられます。

医療は日々進歩して、新しい薬もどんどん出てきますし、Aさんが大学にいた時代を考えると、大学で学んだ知識が今に活かせているとも思えません。年齢を考えると、記憶力も若いころのようにはいかないでしょうが、わからないことは自分で調べる、仕事の基本がしっかりできているように思えます。仕事中に、手のかかるおばあちゃんだな、なんてみじんも思ったことはありません。(失礼すぎましたね、すみません)

Aさんは登山が好きで、今も休みの日には日本全国の山を登って、次の出勤日にはお土産を持ってきてくださいます。趣味の登山のために働いて稼いでいるので、仕事も頑張れるのかもしれません。その年齢で、その細い体で仕事も登山もしているなんて!最初に年齢と趣味を聞いたときは驚きました。

 

2.定年と老後を考える

 人生100歳の時代。Aさんのような70歳はまだまだ現役世代となってくるのかもしれません。薬局に来られる患者様も、70歳というと、持病があってもまだまだ元気な方が多いように感じます。老後の楽しみで仕事以外にやりたいことがあったとしても、年金と貯金を切り崩して細々と暮らすより、少しでも収入があった方が良いに決まっています。

勤務薬剤師の給料だけでは定年までに大金持ちには到底なれませんし、資格があるのなら少しでも長く働いた方がお得とも言えます。新しい薬がどんどん入ってくるので、常に勉強はしないといけませんが、患者様との年齢が近くなればより共感しやすくなりますし、若い薬剤師に自分の経験から教えられることもあると思います。若いころと同じようにはいかなくとも、自分の実力と体力を見極めながら長く働けたら素敵ですね。Aさんは、今でもOLのようにきちんとした服装で、ヒールを履いて出勤されます。私より断然きちんとしている!(笑)

 

3.自分が定年になったら

老後2000万円問題、年金が減らされるかもしれない不安、私たちの世代の老後はお金の不安を上げればきりがありません。資産運用というワードも流行っておりますが、まずはできるだけ長く元気に働けることが大事かなと感じます。

これ以上働きたくない、31歳にしてそう思ってしまったことは多々ありますが、Aさんの登山のように、働く理由をなんでもいいから常に持ち続けて頑張らねばです。

将来病気や事故をしないかなんてわかりませんので、もしもの備えは必要ですが、65歳になっても働くんだろうなーと覚悟をしています。その頃まで薬局経営が厳しい時代や薬剤師が溢れる時代が来ないことを祈りますが、もしそうなっても、どこかで必要としてもらえる薬剤師でありたいものです。

 

ドラッグストアで働く薬剤師の本音2

私が2年前まで勤めていたドラッグストアでのお話、続編です。

1.薬局業界について 2.ドラッグストアでの薬剤師のお仕事について 3.私が実際に働いていた勤務体系 4.ドラッグストアの仕事の魅力 5.実際に働いて感じていたこと

 

前回、長時間少人数シフトでなかなか体力的に大変な仕事だというところまでお話ししました。今回は、それでもドラッグストアを選んだ訳をお話しします。

 

4.ドラッグストアの仕事の魅力 

ドラッグストア内での仕事の魅力の1番は、処方箋のお薬以外の市販薬や健康食品、サプリメントの相談、販売です。

医師が書いた処方箋を基に薬を用意するのではなく、薬剤師が自分でお客様に合った商品を提案することができるので、やりがいがあります。お客様の健康に影響することなので、会社のイチオシだからと無理な売り付けをすることができない分、よりお客様のためを思って選ぶことができます。

数が多く、新しい商品もどんどん出てくるので、そのたびに勉強が必要ですが、お客様の質問に的確に答えられたり、自分が提案した商品を納得して購入してもらえると嬉しいものです。また、新卒入社の場合は研修期間が長めなので、その間に様々な市販薬、健康食品、サプリメントについての研修を受けることができます。研修で接客相談のロールプレイも行いますし、店舗配属後もしばらくは研修生として接客するための時間をとってもらえて、実際の商品に触れながら、知識と接客技術を身に着けていきます。1年も経てば、「こういう症状ならこの薬!」「この手の薬はいっぱいあるけど成分的にこれが一番!」という商品の選び方のコツが身につきます。あとは、実際にお客様の相談に乗りながら、最近の流行りの健康食品やサプリメントについて都度調べたり、メーカーからの案内に目を通したりして幅広い商品の知識が身に付いていきます。

病院で医者に「この健康食品を飲んでいるけど大丈夫かな?」と聞いても、医者は専門外の、しかも処方箋の薬以外の知識はそんなにないので、なんとなく「やめておいて」とか、なんとなく「大丈夫」としか答えられないケースも多いです。健康食品でも薬に大きく影響する物(セントジョーンズワートなど)があります。しかし、それはごく一部の商品ですので、ドラッグストアの薬剤師ならもっときちんと相談にのれる可能性があります。

市販薬も、風邪薬といっても持病があると飲めないもの、持病があっても飲めるもの、など色々あります。また、処方箋の薬では使われていない成分が入っていることも多いので、調剤専門薬局で薬剤師に「パブロンS飲んでます」と言うと、慌てて調べだして結構待たされる、みたいなこともあるかもしれません。処方箋のお薬でPL顆粒というよく使われる風邪薬がありますが、これは前立せん肥大(大人の男性が尿が出にくくなってくるあれ)がある場合、程度によっては飲んではいけない場合があります。ですが、市販薬の中にはそういう人でも飲める、漢方以外の風邪薬があるんです。(店によっては売ってない場合もありますが)

ドラッグストア内の調剤室に処方箋を持ってきたお客様なら、持病や飲んでいる薬も知っているので、お薬の説明の時に、ついでにその人に合った市販薬やサプリメント、健康食品を選ぶことができます。また、商品を選ぶだけでなく、市販薬で対応するべきなのか、それとも病院で診てもらった方が良いのかの判断も薬剤師が行えます。責任重大ですが、やりがいがあります。時々いるんです、すごく重たい症状で、明らかにただの風邪ではないのに、良い風邪薬ありますか?と聞いてくるお客様が。

 

あと、余談にはなりますが、私が勤めた会社は社割があったので、店内の商品のほとんどを1割引きで買えたので、個人的にはそこも魅力かなと思います。化粧品もある程度割引で買うことができました。会社によっては社割がないところもあるようですが。

 

ここまで色々魅力についてここまで話してきましたが、、、

結局のところ、私が最初の就職先にドラッグストアを選んだ理由は、自分で薬を選んで提案できる魅力と、最初に働くなら、まずは幅広い知識を身に着けておきたいということです。研修は中途採用ではそんなに時間をかけてもらえませんし、そもそも最初に調剤専門薬局に入ったら、そのあとドラッグストアで勤務するのは業務内容が違いすぎてハードルが高いと思ったんです。

 

 

5.実際に働いて感じていたこと

働いていると、良い面も悪い面も見えてきます。

まず、病院のすぐ隣の薬局ではないことによるデメリットがあります。 色んな医療機関の処方箋を受け付けると、風邪薬一つでも、いろいろな処方の仕方があります。すぐ近くの医療機関でよく出る薬は頑張って在庫するようにしますが、在庫していない薬が出ることも少なくないので、その場合の対応がなかなか大変です。また、不良在庫も増えるので、在庫の管理も大変です。また、「この病院でよく出るお決まりの処方」がわからないことで、処方が間違っているのか、あえてこの出し方なのか、判断に困ることも多いです。さらに、診察が終わった時間であることも少なくないので、病院に電話で聞きたくても聞けない、その場でお薬を渡すことができない、なんてこともあります。

 

また、苦労したことでいえば、調剤室内での日々の連絡事項に加え、売り場の商品や店の事情で知っておかないといけないことが沢山あり、私の頭では常にフル稼働しないと頭に入らないような状態でした。

業務も夕方以降は他の薬剤師や調剤室の事務さんも帰ってしまって、患者さんが来てもすべて一人で対応しないといけない時間があり、しかも在庫がない薬が出ていたり、理解に苦しむ処方内容だったりすると冷や汗が出ました。一応レセコンの入力は店の従業員がある程度研修を受けているので手伝ってくれるのですが。

 

あとは、長く勤めるほど、土日や長期の休みが取り辛いということが負担になっていきました。友人に旅行や土日に会おうと誘われてもなかなか行けません。週休2日で、通常3~4日に1回休日が来るのですが、長時間の勤務ですので、忙しい時期だとただただ体力回復に努めるような時間の使い方しかできませんでした。運動もあまりしないので、だんだん体力が落ちただけかもしれませんが。また、歓送迎会などのお店の飲み会は営業時間後になるので、かなり遅い時間になりますし、次の日の勤務はみんなぐったりしています。それもあって、あまり頻繁に飲み会はできないです。

そう考えると、私生活はかなり寂しい感じになっていましたね。

今の主人とは学生の頃から付き合っていたので、向こうは土日休みでしたし、月に1回は土日に休みをもらってなんとか会っていました。 また、店舗によっては積極的に連休を交代でとるようにしていて、旅行に頻繁に行っている同期もいたので、お店の状況によって違うのかもしれません。

 

それから、良くも悪くも人が少ないので、管理薬剤師(薬局の責任者)に早ければ3~4年でなれます。出世したい人にとっては好都合ですね。また、若い薬剤師が多いので、ジェネレーションギャップや考え方の違いは少ないのかもしれません。全国区ではなかったのですが、その地域にはたくさん店舗を出していたので、異動も多く他店の情報も入ってきて、職場がすごく狭い人間関係だけっていうわけでもありませんでした。

私は管理薬剤師にはなれませんでしたが、多少お手伝いとして在庫の管理や、レセプト請求(お薬代の保険請求)を任されていました。面倒な仕事と言ったらそれまでですが、この辺はやっておくと薬の知識が増えたり、薬歴(患者様の記録)を書くのに生かせることがあり、良い経験になりました。

 

 

最後に

そんなわけで、5年勤めて寿退職となってしまいましたが、もし新居が県内だったらきっとそのまま働いていたと思います。主婦業もあるので体力のある限りですが。多少不満はありながらも、次に活かせるいい経験ができたなーと感じています。

ドラッグストアで働く薬剤師の本音1

私は、2年前まではドラッグストアで勤務していました。

今日はそのドラッグストアで勤務していた頃の話をしようと思います。

 

1.薬局業界について

2.ドラッグストアでの薬剤師のお仕事について

3.私が実際に働いていた勤務体系

4.ドラッグストアの仕事の魅力

5.実際に働いて感じていたこと

 

 

1.薬局業界について

病院から院外処方せんが出され、外の薬局で薬をもらう仕組み(医薬分業)が20年ほど前に広まり、調剤専門薬局があちこちで増えました。

私が勤めた会社は、ドラッグストアも調剤専門薬局も展開しています。当初は患者獲得のために、病院のすぐ前に調剤専門の薬局を建てることで売上を伸ばしていました。

しかし、国の方針が徐々に色んな医療機関から処方箋を受け付ける、いわゆる町のかかりつけ薬局を推し進める方向に動き、1つの医療機関に集中した処方箋受付の薬局は調剤報酬(処方箋の薬代に加わる手数料)が引き下げられていきました。「全ての医療機関の処方箋を受け付けています」と貼り紙がしてあるのは1つの医療機関に集中することを避けるためなんです。ドラッグストア内に併設する調剤室は、すぐ近くの病院に限らずお買い物ついでに各所から患者さんが集まります。町のかかりつけ薬局としてはとても条件がいいわけですね。そんなわけで、ドラッグストアに併設する調剤室がどんどん増えてきているんですね。

 

2.ドラッグストアでの薬剤師のお仕事について

ドラッグストアの薬剤師の仕事は、主に市販薬(以後OTC)の販売と、ドラッグストア内に併設されている調剤室での調剤業務(処方箋のお薬の提供)です。

近頃は大学の薬学部も各地で増えてきているのですが、私の入社当時は薬剤師の数がまだまだ追いついていない為、新しく入ってくる薬剤師は調剤室での仕事がメインで、時間が空いたら売り場に出て品出しなどのお手伝いをするような形になっていました。企業によっては、調剤室は最初から全く別の部署で、調剤室の営業時間も別、薬剤師が売り場に出る事はないという会社もあります。市販薬の販売だけなら、ロキソニンSなどの一部の薬を除いては登録販売者でも販売できますからね。(登録販売者とは、ある程度薬の勉強をして資格を取った一般の従業員のことです。)

 

3.私が実際に働いていた勤務体系

調剤室だけ営業時間を短くしている会社も多い中、私がいた会社は、他社との差別化を測るために、できる限りドラッグストアの営業時間に合わせて、遅い時間でも処方箋を受け付けたいという方針でしたので、9:00〜21:00で年末年始以外は年中無休で調剤室も影響していました。少人数シフトの為、労働時間が長い。土日はパート薬剤師さんもいないので土日休みは取りづらい。有給も実質ほとんど取れない状況。長く続けられる人が少なく、なかなか人出が増えません。代わりにドラッグストアで働く薬剤師の給料は調剤専門薬局より高めに設定されていましたし、残業代もきちんと出るし、決してブラック企業ではありませんでしたが、私にとっては体力的に結構大変でした。

 

勤務体系は営業時間が長く少人数シフトであるというだけである程度予想がつきます。それでも私がドラッグストアを最初の就職先に選んだのには、体力がある若い頃だったから、とういだけではない理由がありました。

 

長くなるので続きはまた次回、、、